「見るトコろ!感じるトコろ!茜衣がいくトコろ!」いいトコ発信ところざわ Vol.9
連載第8弾 そのままの自然が展示物!
~さいたま緑の森博物館を案内してもらいました~
いいトコ発信ところざわでは、連載第5弾「梅雨の合間の狭山丘陵を散策してきました」、連載第6弾「狭山湖周辺とトトロの森を散策してきました」と2回に渡って所沢市域内を中心に狭山丘陵の魅力をお届けしてまいりましたが、「狭山丘陵は自治体同士で協力してみんなで守っていくもの。行政区分にとらわれずに魅力を発信していきましょう!」ということで関係者の意見が一致しました。という訳で、まずは入間市と所沢市にまたがるエリアに広がる「さいたま緑の森博物館」に伺ってきました。
さいたま緑の森博物館統括責任者の長谷川勝様にご案内いただき、秋晴れの森を満喫してきました。
取材日:2020年10月25日 ボランティアライターじん
① さいたま緑の森博物館について
長谷川さんよりこの博物館の歴史と特徴について説明いただきました。
長谷川さん:このさいたま緑の森博物館は、開発が急激に進んだ時期、狭山丘陵の自然を保護する声の高まりを受けて、25年前に埼玉県の施設として開園しました。自然保護団体の提案を受け入れてつくられたこの博物館の最大の特徴は「自然が展示物」ということです。
長谷川さん:狭山丘陵の埼玉県側、約85ヘクタールの敷地の自然そのものが野外展示なんです。
大学で環境教育を学んだむなぞーさん。説明に興味津々です。
この案内所はスタッフさんがいらして、問い合わせや森の案内マップの配布などを行っています。自然に関する解説などがある室内展示室もあります。
こんな自然を感じながら楽しめるおもちゃもあったりします。
今年できたばかりのピザ窯もあります。イベントなどで使用するそうですよ。
長谷川さん:今日は、この案内所の周辺をひとまわりして自然を楽しんでいきましょう。
むなぞー:宜しくおねがいします!
早速、散策に出発です。
② いざ森の中へ
長谷川さん:ではどんぐりを踏まないように歩いていきましょう。
むなぞー:えっ?こんなにあるのに無理…
長谷川さん:ハハハ冗談です。今年はどんぐりが豊作なんです。足の踏み場もないくらいに落ちていますね。
長谷川さん:この辺りは雑木林といわれる林になります。そのため、杉や檜といった家を建てるような木は少ないですが、落葉樹と常緑樹との両方のどんぐりを落とす木がたくさんあります。木がどんぐりを大量に落とすのは子孫を残すためです。今日はどんぐりをはじめ、森の植物が子孫を残すためにどんな工夫をしているかも学びながら歩いていきましょう。
長谷川さん:この辺りには少し前まで「ツリフネソウ」がたくさん咲いていました。今は花の時期は終わっちゃったんですが、この部分が種になります。ちょっと触ってみてください。
むなぞー:うわっ!飛び散った!
長谷川さん:こうやって飛び散ることにより、種子を少しでも遠くに飛ばすという植物の知恵なんです。
むなぞー:びっくりしました!
長谷川さん:こちらはウリカエデの木になります。これはツリフネソウとは違った形で種子を遠くに飛ばします。
長谷川さん:これが種子です。プロペラがついていますね。ちょっと飛ばしてみてください。
むなぞー:それっ!
むなぞー:あっ。回転しながら飛んでいますね。こうやって遠くまで飛んでいくんだ。
これ以外にも服などにくっついて遠くまで運ばれる種類のものも。むなぞーさんにもいろいろくっつきました。続けてどうぞ。
アライグマにへんな髭が
服にくっついた(長谷川さんが投げた)
こらっ。こっちに投げるな
いろいろ遊んだりしながら、植物は種を残すためにいろいろな工夫をしていることを学びました。
③ 森と人間との暮らしのかかわり
長谷川さん:ここは大谷戸湿地という場所です。今は葦などが生えていますが、昔ここは田んぼで、稲作が行われていました。
長谷川さん:反対側の斜面はアズマネザサという竹が生い茂っていますが、これはあえて残してあります。昔の人は笊などをつくるためにこういった竹を利用していました。今はアズマネザサの竹からそういったものを作る技術を持った人は、この辺りでは、見かけなくなってしまいました。今では野生動物の隠れ場所として残している意味合いもあります。
長谷川さん:これはお茶の木です。
むなぞー:こんなところに生えるんですね。
長谷川さん:お茶っていうときれいに並んだ茶畑の風景を思いうかべるかと思いますが、あれは人間が収穫しやすいようにしてあるからなんです。野生のお茶はこの辺りだと2m以上のものもあります。
むなぞー:そうなんですか。茶畑でしかみたことない。
長谷川さん:これは「コウヤボウキ」です。高野山のお坊さんがこれで箒をつくったことが名前の由来といわれています。
むなぞー:なるほど。自然のものをいろいろ暮らしに利用しているんですね。
④ 森の楽しみ
長谷川さん:これは森の音を楽しんでもらおうとつくった「音きく器」です。何が聞こえますか?
むなぞー:散策している子どもの声が聞こえます!
長谷川さん:・・・。ここよく響くんだよね。声が(大人の対応)
鳥の鳴き声や風にゆれる葉のすれる音などが聞こえていました。あと、どんぐりの落ちる音が次々に聞こえてきました。風がなくてもポトリって落ちてくるんです。誰かがこっそり落としているみたいにね。
もぐらの穴発見!実際のもぐらを見ることはできませんでしたが、そこに生き物が生活しているってことを実感できますね。
⑤ 雑木林の役割
長谷川さん:この森にはクヌギやコナラがたくさん生えています。これは昔、薪として利用するために人が植えたものなんです。育ったら伐採して薪にして、そしてまた育てるということを繰り返してきました。この切り株から生えてきているこちらの部分わかりますか?
長谷川さん:これは萌芽といいます。切った後に切り株からまた生えてくるんですね。この位の大きさですと生えてから1年くらいですね。これを育てると15年から20年位でまた薪になる位にまで木は育ちます。どんぐりから育てるとここまで大きくなるのに5年以上はかかります。人々はこの「萌芽更新」という方法で効率よく木を育てていました。
長谷川さん:この先の森は萌芽更新がうまくいかなかったため、テレビ局の企画でどんぐりの芽を育てて、苗木を森に植えたところになります。時間をかけて、手をかけてゆっくり森を育てています。こういった取り組みも継続的に行っています。
今日は、むなぞーさんにも森のために手伝ってもらいます。普通は一人一個なんですが特別に許可しますんで、いろいろどんぐりを拾ってくださいね。
むなぞー:はい。わかりました!
長谷川さん:この丸くて大きいのがクヌギのどんぐり、細長いのがコナラのどんぐりです。この二種類が薪になる木の代表的なものになり、この森にたくさん育っています。
むなぞー:これがくぬぎー。ほら、まんまるだよ!
また、幹でクヌギとコナラを見分ける方法も教えていただきました。実はこれが後で重要な意味を持ちます。
⑥ 展望広場
森の中をぐるっと散策して視界が開けたところにでました。ここは展望広場です。広々とした空間に、館内で一番の巨木であるエノキが堂々とした姿をみせています。
ここからは入間市の市街地方面や秩父・奥多摩の山並みも見られます。天気が良いと秩父・奥多摩方面以外にも日光白根山や谷川岳、筑波山も見られる時があります。
眺めがよくて気持ちのいい場所です。
レジャーシート広げてお弁当食べるのもいいですね。
⑦ 本日のおさらい
今日は、植物の生態や森と人々の関わりなどについて教わりながら散策してきました。戻ってきた案内所の手前で長谷川さんからこう言われました。
長谷川さん:では、むなぞーさんここで問題です。この2本の木、どっちがクヌギでどっちがコナラでしょう?今日の卒業試験です!
むなぞー:え?え?どっちがどっちだっけ?
むなぞー:左がクヌギで右がコナラ!
長谷川さん:正解です。よくできました。合格です!
むなぞー:よかった~
樹皮の断面がくぬぎの「く」の字のように見えるのがクヌギ、コナラの「コ」の字ように見えるのがコナラって覚えるとわかりやすいんですけど、是非実物を見て確かめてみてください。
最後に今日拾ってきたどんぐりを「どんぐりファーム」にまきました。途中で説明があったように、森を育てるための取り組みです。
ここで出た芽(実生といいます)を育てて、苗木にし、森に植えていきます。
むなぞーさんが今日集めたどんぐりです。
むなぞー:大きくなりますように!
たくさん教えていただいて、無事に卒業試験にも合格して、森を育てるお手伝いもできました。むなぞーさん。今日の感想をお願いします。
むなぞー:森の中歩こうって話していたのになんとなくとんでもなく厚底のヒールがある靴選んで、現地着いてからあれ?これは?やってしまったーーー!となりました笑 むなかたさんのぽんこつが発動。
今回歩いたルートは歩きやすい道だったので良きだったけど、もうちょっとちゃんと自然を見ようと思ったら歩きやすい靴をオススメします。笑
案内しながら歩いてもらったので、動植物に対して知識が深まりました!! 歩き終わったあとに小さいお友達にミミズ見つけたーって言われた時、ミミズあんまり好きじゃないのにちゃんとミミズ見たいって思いました。 ちょっとしたきっかけで考えとか変わるんだな。しみじみ
むなぞーさんありがとうございました。本日は歩きやすいルートを選んでいただいたので事なきをえました。さいたま緑の森博物館は散策ルートが他にもたくさんあるので、歩きやすい靴でまた来ようね。
今年で25周年を迎えたさいたま緑の森博物館、各種イベントも開催されております。最後にリンク貼ってありますので、是非チェックしてみてください。
秋の森を思いっきり楽しませていただきました。統括責任者の長谷川さん、本日はご案内いただき誠にありがとうございました。
取材先:さいたま緑の森博物館 公式ホームページはこちら
協力:一般社団法人 所沢市まちづくり観光協会
モデル:宗像茜衣(SOLUNA Music&Creative所属)