所沢の仕掛人。第2弾 大石健一さん
所沢の仕掛人。
所沢の情報を発信する「所沢なび」では、「所沢の仕掛人。」をシリーズでお届けします。所沢を元気にする活動を行う「所沢の仕掛人」にクローズアップしてご紹介していきます。
前回の程原宏明さんからのお薦めで7月8日に所沢初のパンフェス「パンフェス野老!」の副実行委員長を務める、大石健一さんをインタビューしました。
第2弾 まちづくりNPO所沢元気計画 代表理事 大石健一さん
VOL.2 Mr. Kenichi Ohishi
(Representative Director「The Town Development NPO Tokorozawa Energy」)
取材 成田知栄子 2018年4月24日
もくじ
1.大石健一さんってどんな人?
2.インタビュー
(1)ご当地ヒーロー「航空戦士トコロザワン」
(2)頑張る人を応援するまちづくり
「ひまわり畑」「戦国滝の城まつり」「JULEPS」
(3)北勝富士を生んだ所沢
(4)新イベント誕生「ローカルフードマルシェ」
(5)全天候型のイベントスペースがあれば…
3.次回の仕掛人。は?
1.大石健一さんってどんな人?
「パンフェス野老!」の副実行委員長の大石健一さんって、もしかして・・・?
そうです!所沢市民はご存知の方が多いと思いますが、本職は所沢市議会議員。これまで3期も務めているベテラン議員。にも関わらず、とても気さくなキャラクターで、町を歩けば、まるでお友達かご近所同士のように市民から声をかけられます。
その訳は…?ありとあらゆる所沢のまつりやイベントに参加して、一緒になって盛り上げ役を務めていることにあるのでは?私も時間のある限り市内のイベントを取材していますが、私のカメラには必ずといっていいほど、大石さんが市民に紛れて写りこんでいます。
大石さんは市議を務めながら、所沢を元気にする活動を行う「まちづくりNPO所沢元気計画」の代表理事をされています。同団体は、東日本大震災が起きたあの年、「所沢のコミュニティを強くし、町を元気にしたい!」という思いで立ち上げられ、NPO法人に認定されました。
詳細は、こちらをクリック⇒まちづくりNPO所沢元気計画公式サイト
同団体の主な活動は、下記の通り
①所沢のヒーロー『航空戦士トコロザワン』の運営
②所沢で活動する若手ミュージシャン、アーティスト発掘支援
③所沢のひまわり畑の運営参加
④所沢の農産物・特産品のPRと新規メニューの開発
⑤所沢での産官学の連携
⑥まちづくりイベント参加
その他、大石さんの過去の経歴
*所沢青年会議所 2002年度理事長、1999年度わんぱく相撲大会実行委員長
*所沢商工会議所青年部 まちづくり委員長(2006年~2008年)
2.大石さんにインタビュー
(1)ご当地ヒーロー「航空戦士トコロザワン」
成田:今年(2018年)7月8日開催の「パンフェス野郎!」の副実行委員長を務めるなど、大石さんといえば、あらゆる所沢のまちづくりイベントに参加されていますね。
大石:私が代表理事を務める「まちづくりNPO所沢元気計画」の活動の一環として進めています。代表的なものはいろいろありますが、「航空戦士トコロザワン」もその1つです。
成田:その生みの親が大石さんだと伺いました。いろいろなイベントで「トコロザワン」をお見かけしますよ。
大石:誕生は、2011年4月1日に所沢に飛行場ができてちょうど100周年だったので、「航空発祥の地 所沢」をPRするためにご当地ヒーローをやろうと考えたのがきっかけです。
成田:動画もついた素晴らしいホームページ(こちらをクリック⇒航空戦士トコロザワン)もありますね。どこからこのアイディアを得たのですか?
大石:2004年に日本大学芸術学部所沢キャンパスの「春祭」に行きましたら、「日芸戦士トコロザワン」というのをやっていまして、これがなかなか面白くて。それで、その学生さんたちに、所沢で行われる今の「とことこタワーまつり」の前身になるようなイベントにも参加してもらったところ、ウケがよかったんですよ。2年くらい続いたのですが、やっていた学生さんが卒業するときに「日芸戦士トコロザワンは、大石さんにあげる」って言われたんです。
成田:それを引き継いだのですね?
大石:そうなんです。トコロザワンを受け継いで、それをご当地ヒーローとして形にするための人脈もありました。私は市民劇団「いちょうの会」のメンバーで大道具や音響などの裏方をやっているのですが、「いちょうの会」で「西遊記」をやった時に、殺陣(たて)指導をしてくれた人たちに入ってもらいました。その人たちは、普段、遊園地でヒーローショーをやっている人たちで、「航空戦士トコロザワン」チームができました。ヒーローは「トコロザワン」だから1人。ほかは、「へダラー軍団」という悪役を務めています。戦闘員、マダム・カーラス、ハクビシーンJr.、へダラー総統(詳しくはホームページを)がいます。
成田:ご当地ヒーローは、子どもたちに何を伝えようとしているのですか?
大石:子どもたちに、まずは、「所沢は航空発祥の地」というのを知ってもらいたくて。「航空戦士」と名付けました。「航空戦士ってなに?」「日本はじめての飛行場ができた街なんだよ」なんて、そういう会話を親子でしてもらいたい。
成田:悪役の名前が、個性的ですね。
大石:まずは「ヘダラー総統」という名前ですが、「へだら」というのは、所沢の昔の方言で「ふざけているんじゃない」「いいかげんなことをいうな」とかという意味で「へだらこいているんじゃねぇ」っていうんですよ。名前は方言から取りました。
そのほかは、鳥獣被害を題材にしてつけました。
「マダム・カーラス」の設定は、所沢東地区のほうで所沢の雑木林を寝床にして東京にベッドタウンのように通勤して、ごみをあさって帰ってくるカラス。
「ハクビシーンJr.」は、所沢の西のほうに、ハクビシンが増殖し、今でも果物など農作物を食い荒らす被害があります。最近は、アライグマに襲われているそうですが。そういった人間と動物の葛藤を描いています。「ハクビシーンJr.」が「おまえら人間が森を荒らすからいけないんだ!」なんていうセリフがあります(笑)。
このように「航空戦士トコロザワン」のストーリーは、所沢の方言や環境問題にメッセージをいれて、子どもたちに少しずつ、所沢に興味をもってもらえるようなエッセンスを加えながら展開しています。ふるさと愛を醸成できたらいいですよね。
成田:へっー!ヒーローものにそんなまじめなメッセージがこもっていたとは!
大石:ホームページに動画もついていて、3分ほどで観れますので、是非、ご家族でご覧になってください。また、埼玉県のホームページにも掲載され、「埼玉ご当地ヒーロー」の公認になりました(埼玉県のホームページ)。ナナコカードにもなってます。これで少しでも所沢をPRできているんじゃないかな。
(2)頑張る人を応援するまちづくり
成田:「ひまわり」の活動も有名になりましたね。
大石:あの活動は、所沢商工会議所青年部のまちづくり実行委員長だった時に立ち上げた活動で、もう10年続いています。「農地を活用して観光で所沢に人を呼ぼう」というもの。毎年6月20日前後で、みんなでひまわりの種をまいています。観光は延べ3000人程度が訪れるようになり、所沢市のPRビデオにも出てくるようになりました。SNSや口コミで見頃になると県外からも多くの人が集まってくるようになりました。
成田:まさに「継続は力なり!」ですね。NPO法人里芋本舗(ホームページ)の理事もされているのですね。
大石:梶谷和義さんが会長なのですが、これも所沢のPRのためのものです。所沢市は里芋収穫量全国3位、県内1位なんです。しかも、味がいい!なのに、あまり知られていない。ということで「所沢商工会議所青年部」が2003年から里芋焼酎の試作品を作りはじめました。販売開始は2007年から。その名前は「恋も咲くところ」。僕はそのネーミングを考えたんです。親芋にたくさんの小芋が実ることから『恋の成就』と命を繋げていく『子孫繁栄』の願いを込め、里芋の小芋(恋も)、醸造元・千曲錦酒造のある佐久市(さく)、所沢市(ところ)から、「恋も咲くところ」と命名しました。
成田:「戦国滝の城まつり」にも大石さん参加されていますよね?
大石:これは、所沢市の柳瀬地区の市民主体イベントです。その地区の城山神社の境内地は、戦国時代にあった城跡の主要部分で、かつては多摩西部と北関東の諸城を結ぶ「伝えの城」として重要な役割を担っていたようですが、1590年豊臣秀吉による小田原征伐とともに落城したんですね。私は、青年会議所や所沢商工会議所青年部でイベントごとを多数経験していますので、地元の人たちに手伝って欲しいといわれ、もう今年で7回目になりますが、ずっと一緒にやっています。私の担当は2つのステージのうちの1つ。特に「忍者ショー」が人気なのですが、これは「トコロザワン」のつながりで、プロの方が来てくれるので、迫力あり、盛り上がります。
私は「一生懸命やる人、頑張る人を応援してあげられるまちにしたい」。そんな思いで協力しているイベントの1つです。
※2018年の「第7回戦国滝の城まつり」は5月20日(日)午前10時~午後3時
メイン会場:滝の城跡・城山神社周辺(所沢市城 537)。甲冑(かっちゅう)に身を包んだ「武者行列」はJR東所沢駅を出発し、城山神社に着陣。子どもからシニアまで歴史に触れながら楽しめるイベントです。詳細は、市のホームページ⇒「第7回戦国滝の城まつり」スケジュール
成田:そうですね!がんばる人を応援できるまちって素晴らしいですね。
大石:音楽では「JULEPS」というグループがその1つです。「航空戦士トコロザワン」のDVDにも出演してもらったり、主題歌をうたってもらったりしている松山優太くんが、そのグループのリーダーなんですが、所沢のイベントや商工会議所青年部のイベントのたびに、彼らに歌ってもらってPRしたんです。すると、単独ライブでも100人、300人、700人と増えて、とうとう1000人規模のホールをいっぱいにするほどに成長しました。そして、秋元康さんの事務所に見いだされて、テレビにも出演するようになりました。
(3)北勝富士を生んだ所沢
成田:大相撲の北勝富士さんも、所沢全体で応援してますよね。
大石:北勝富士は、本名 中村大輝くんっていうのですが、僕は1999年に「わんぱくずもう実行委員長」をやっていたので、子供のころから知っているんですよ。立派ですよね。子どもの頃は集中力がなくてよく泣く子でした。県大会に行くと、本格的な指導者がついて稽古しているから、なかなか敵わなかったんですよね。でも、所沢から県大会に行く子どもたちは体格的には負けていなかったので、「この子たちに、目標を持たせて鍛えてあげれば、絶対伸びるな」と思い、県大会にでるような優秀な4,5人を坂戸や朝霞の道場に出稽古に連れて行くことにしたんです。「君たちは所沢の代表だから、みんなの気持ちを背負ってがんばってくれ」と。すると、子どもは一生懸命やるんです。次第に県大会に出ても勝てるようになってきたんですよね。
子どもは、ちゃんと環境を与えて、きちんと指導してあげると伸びるんですよ。伸びた子どもを見て、次の子どもたちはその背中を見て目標になるんです。大輝くんの先輩に、南雲学人くんという子がいて、学人くんは入間少年相撲クラブの横綱になったほど強い。大輝くんはその学人くんを追って、埼玉栄高校に進学し、日本体育大学に入りました。大輝くんのように、いい先輩がいて指導者に恵まれ、本人が目的をもって努力できる環境にあったから、今の大相撲の北勝富士になったのだと思います。
私は、まちづくりには、教育と環境で、人を育てることも大切だと思うんですよね。そして、「がんばる人を応援する」ということで、伸びるまちになると思います。
(4)新イベント誕生「ローカルフードマルシェ」
成田:大石さんは引き出し多すぎて、あっという間に時間が過ぎてしまいますね。他にも聞き漏れがありそうですが、そろそろこの辺で。今年のイベントの活動の中で特に力をいれたいものは何ですか?
大石:今年は、地域の公園の利活用でコミュティづくりが広まればと思っています。これまで、市の管轄する公園では、物販ができなかったのですが、それが今年からできるようになったので、公園にキッチンカーを入れて、公園でカフェができます。公園が地元住民のコミュニティの場として利用されるようになればいいですよね。
その試みが、近々、航空公園の「エコトコファーマーズカフェ」の渋谷正則さんを中心に計画を進めている「ローカルフードマルシェ」というイベントを小手指駅近くの北野公園(市民プール隣)で開催します。ちょうど、この日、北野公園を出発して行われる「みどりのふれあいウォーク」があり、同時開催です。名前のとおり、所沢牛を使ったグルメや所沢の野菜の販売、狭山茶など所沢フードの魅力を伝えるイベントです。そのほか、ハンドメイド品の販売や、フラワーアレンジメントや消しゴムハンコ作りなどのワークショップ、フットマッサージ、フェイスペイント体験もあり、お子さんからおじいちゃん、おばあちゃんまで楽しめる企画がそろっています。まずは、地元の人の参加を促すために、小手指3丁目と4丁目の人に回覧を回しています。
(5)全天候型のイベントスペースがあれば…
成田:所沢の人のイベント企画のパワーはすごいですね。
大石:そうなんです。パワーはあるまちなので、環境を整えれば、所沢はもっと成長できます。7月8日の「パンフェス野老!」のような、テーマ別のイベントが市民の力でどんどんできるまちになるには、安心してイベントが開催できる環境づくりも必要だと思っています。イベントで心配なのは、天候ですよね。僕は、富山市の全天候型のイベントスペース「富山グランドプラザ」のような広場があれば、パンフェスだってビールフェスだって、リスクの少ないイベントを開催できるのにと思っています。ちなみにその富山市のイベントスペースの土日祝日の活用率は100%だそうです。
▲富山市にある「富山グランドプラザ」。全天候型のイベントスペース(大石さん撮影)
◆次回の「所沢の仕掛人」は?
成田:さて、次の「所沢の仕掛人」をご紹介いただけませんか?
大石: では、今回、5月19日(土)「ローカルフードマルシェ」の実行委員長を務め、また夏の「ソラバル」実行委員長も務める渋谷正則さんを推薦します。
成田:承知いたしました。ありがとうございました。
「所沢の仕掛人。VOL.3」 は 渋谷正則さんです。お楽しみに!
2018年4月24日 取材 成田知栄子