所沢の仕掛人。第6弾 【後編】田畑大介さん 榊原美和さん
所沢の仕掛人。第6弾
【後編】田畑大介さん 榊原美和さん
所沢の仕掛人。
所沢の情報を発信する「所沢なび」では、「所沢の仕掛人。」をシリーズでお届けします。
このシリーズでは、「所沢を元気にする活動をしている人」にクローズアップしてご紹介していきます。
今回は、所沢市街地の活性化を四季折々のイベントで仕掛をしている「とことこまちづくり実行委員会」の田畑大介さんと榊原美和さんに取材させていただきました。
「とことこまちづくり実行委員会」は、埼玉県が実施している平成29年度「元気な商店街応援事業」の商店街部門で受賞しています。
お二人が率いている「とことこまちづくり実行委員会」は、年間を通じた活動になっているため、前編、後編の2回のシリーズに分けてお届けします。
VOL.6 Mr. Daisuke Tabata & Ms. Miwa Sakakibara (Executive Committee of TOKOTOKO Town Development)
取材:2018年9月5日 成田知栄子
▲平成29年度「元気な商店街応援事業」商店街部門受賞 左から 田畑さん 埼玉県知事 榊原さん
もくじ
【前編】
1.とことこまちづくり実行委員会とは?
2.祝!平成29年度「元気な商店街応援事業」商店街部門受賞
3.インタビュー
(1)「とことこまちづくり実行委員会」誕生の秘話
(2)四季折々のイベント
①野老澤雛物語・新三八市「時代着物市」
②とことこタワーまつり
【後編】
③野老澤行灯廊火
④とこまちコンサート
⑤サンタを探せ!
(3)「とことこまちづくり実行委員会」が目指すもの
第6弾【後編】3.インタビュー
(2)四季折々のイベント
▲野老澤町造商店(まちぞう)店長でとことこまちづくり実行委員会スタッフの榊原美和さん(左)と日栄会理事長でとことこまちづくり実行委員会委員長の田畑大介さん(右)
③野老澤行灯廊火~所沢の夏の風情とにぎわいを創設~
▲2018年野老澤行灯廊火の点灯式の様子
成田:行灯廊火は、昨年受賞したイベントですね。
田畑:そうなんです。2011年のタワーまつりから、4つの商店街がつながって「行灯廊火」がはじまったんですが、そのころは、行灯を銀座中央広場にしか飾れなくて数10個程度でした。イベントは面白いけど、飲食が多くなかったので、その辺を改善したんです。
榊原:それに去年から「所澤神明社」のほうにも行灯の展示をするようになりました。以前からそのような案は出ていたのですが、宮司のほうも「行灯を伸ばして神明社までつながるように」という案に賛成してくださったんです。
▲所澤神明社に展示された地口行灯 2018年は190個の行灯が展示されました
成田:神明社での展示はすごく評判がいいですよ。
榊原:ありがとうございます。去年が160個で、今年は190個展示しました。嬉しいのは、一般のお客さんたちが、自分のお孫さんのお名前を入れたいなど、自分たちもお祭りに関わりを持ちたいという方が増えたことです。昔のお祭りのように個人で協賛を出すという感覚にもどってきたのかもしれませんね。行灯は1つ3000円で協賛金という形で戴いていますが、見ていると協賛された皆さんは、神明社に行灯をご家族そろって探しに出向いて写真を撮っているんですね。
成田:ご家族で夜のお散歩はいいですよね。でも、190飾るだけでも大変だと思うんですが。
田端:まずね、大変なのは、私が当日の朝、蚊の対策をしに行くんですよ。蚊よけの薬をまくんですけど、スプレー缶を8本まいちゃうから、喉が痛くなっちゃうだよね。
成田:身を挺して神社で蚊よけしてくれていたんですね。
榊原:はい。蚊よけはいつも。まいておくとしばらくの間、蚊が寄り付かないという薬があるんですね。その蚊よけ作業が終わってから、行灯を置きに行くんですが、置く事より、照明を入れる時間が点灯式の午後7時と重なるので、それが大変ですね。スタッフ6人程いるんですが、私と田畑さんは、点灯式のため「元町コミュニティ広場」にいるので、今年は3人のスタッフが神明社で点灯しました。でも、嬉しいことに、その姿を見ていたお客さんが、手伝ってくださったそうです。もう、スタッフと一緒に汗だくになって。ライトのボタンを1つ1つ押してつけてくださったそうですよ。
成田:あの幻想的な光景は、市民のみなさんの協力によって実現されたんですね。行灯には、知っているお店や団体の名前があるし、他人事とは思えないですものね。
榊原:今年は初めて、マンションの前に少し置かせていただきました。これが駅から繋がれば、まるで神明社までの〝道しるべ〟のようになると思います。ここで行灯の廊火たる所以が具現化できるかなと思うんですけどね。
田畑:これ以上増えても、行灯の保管場所がないんだよ~
榊原:マンションとか町内会さんとか、参加してくれるところが、それぞれ預かってくれるとか、ほかに保管場所が見つかるといいんんですけどね。
▲野老澤行灯廊火の日の元町コミュニティー広場の様子 この日は元町広場、所澤神明社を中心に銀座通りにも夜まで多くの人通りができます
④とこまちコンサート~アーティストへの恩返し~
▲「とこまちコンサート」のエンディングの様子。アーティストたちが客席へサインボールを投げ入れているシーン
成田:これは、どういうコンセプトで開催されているのですか?
榊原:「とことこまちづくり実行委員会」の四季折々のイベントにボランティアで来てステージでパフォーマンスをしてくれるアーティストのコンサートです。いつも、暑い日でも寒い日でも、音楽でイベントを盛り上げてくださっているので、お礼の気持ちを込めて、年に1回は、環境のいいところでパフォーマンスをしていただきたいということで企画しています。
田畑:以前は、「アーティスト展」ということで、「まちぞう」(野老澤町造商店の愛称)の中で日替わりで演奏してもらっていたんですが、一昨年からホールで行うようにしました。
榊原:大きなホールですが、コンセプト的には、ホールにあの路上ライブを持ってきた感覚です。1グループにつき、リハーサルと本番含めて35分と決めて。お客様は路上ライブと同様に準備の段階から見ることができます。
また、ファンの方もお目当てのアーティストだけでなく、他のアーティストも観れるというメリットがあります。アーティストさんたちからも好評です。待ち時間が長かったりするので、アーティスト同士の交流もできるんです。
今年は225名の客席が埋まりました。チケットは、アーティスト本人たちが売りますが、半分はアーティストさんたちの収入になるようになっています。当然、「とことこまちづくり実行委員会」でも、当日の出演料をお支払いしていますけれど、チケットは自分で売れば売るほど利益がでるようにしています。ファンの方もそれを知っているので、いっぱい買って下さるそうです。アーティストさんたちは、所沢以外でもライブ活動を行っているので、他市他県でもチケットを売ってくださっているようで、この日は他市他県から所沢に集まってくるという効果もあるんです。
田畑:出演料もグループ単位でいくらじゃなくて、1人いくらとしているので公平なんです。キャリアのある人も新人の人も同じギャラ。チケット売る際にキャリアのあるアーティストさんは名前が売れている分、販売しやすいという差が生まれますから、キャリアの差はチケット代で差が出るようにと考えています。
⑤サンタを探せ!~楽しませるだけじゃない!安全・防犯対策も~
▲総勢200名のボランティアサンタが集合 2017年撮影
成田:サンタのイベントも恒例になりましたね。こちらも日にちが毎年決まっているのですか?ご準備にはご苦労もあるのでしょう?
榊原:サンタは毎年12月の第2土曜日に開催しています。
田畑:集めているボランティアサンタは200人。
榊原:サンタの衣装は、人数分用意しなくちゃいけないので、ダイソーでは、とことこまちづくり実行委員会は、もう常連さんになりました。
田畑:サンタの衣装の苦労話って、あったよね
榊原:そうですね。はじめの頃は、市内中のダイソーをスタッフで手分けして買いあさりました。
田畑:今は、ダイソーの本社に注文して送ってもらえるようになりましたけど。
成田:今はどんなことにご苦労なさっていますか?
榊原:ビンゴの景品集めが大変なんですよ。ビンゴカードを1500枚売っているので、最低でも1500の景品を集めないといけないんですね。町の商店の大きいところ小さいところ含めて、景品の寄付のご協力をお願いして回ります。商店の商品を提供していただいたり、物品を持たない不動産屋さんなどは、お菓子の詰め合わせを作ってくださったり。みなさん、ご協力してくださいます。その代り、宣伝として、ショップカードを入れてもらったりしていますので、景品がどこのお店のものか、お客さんもわかるというというのも1つの楽しみだったりします。
成田:サンタを探せ!はどういう目的から始まったのですか?
榊原:街歩きをしてもらうイベントですね。はじめは、ラリークイズ形式のものだったんですが、クイズだと子どもが難しかったということもあって、幼稚園の子どもたちでもわかりやすいものということで、今のビンゴ形式になりました。
成田:もうサンタは子どもたちに大人気。小さなお子さんたちは、お父さんお母さんに手を引かれてサンタまわり。小学生の高学年からは、友達のグループで回っていますね。
榊原:子どもたちは景品が目当てじゃないんですね。サンタに会いたいんです。去年失敗したのが、ビンゴカード1500枚が早々に売り切れてしまったことなんです。すると、親御さんが100円均一のお店でビンゴカードを買って子どもに持たせていたんです。子どもはビンゴカードを持たないと、サンタさんのところに行ってお話ができないということで親御さんたちの苦肉の策だったらしいんですね。サンタクロースのところに行って、ビンゴにチェックをしてもらう。子どもたちってそれが楽しんですよ。ビンゴカードは、縦横ナナメのうちどれか1列そろえばいいんですが、ほとんどの子どもたちが全部のマスが空いたカードをゴールに持ってきます。きっと全部のサンタさんに逢うのが楽しかったのでしょうね。
また、秋草学園の学生さんにもボランティアサンタをしてもらったのですが、はじめは恥ずかしがっていたような生徒さんも、あっという間に子ども目線になって、子どもたちの人気者サンタになりきって振る舞っていますよ。ほかのボランティアのサンタさんも、子どもたちを楽しませようと一生懸命で、年々、サンタのクオリティもあがってきています。
田畑さんが、「見守りサンタが必要だ」というので、ビンゴサンタだけでなく、見守りサンタも配置するようになりました。
▲サンタパレードの様子 プロペ通りも練り歩き、商店街のクリスマスムードを盛り上げます!
田畑:子どもたちは夢中になっちゃって、道路に飛び出したり、サンタの恰好している人に警戒なしに付いて行っちゃうといけないので。ですから、サンタのボランティアは誰でもというわけにはいかなくて、町の人が身元が分かっている、お互いに顔見知りであることが、安全・防犯のために大切だと思っているんで、ボランティアを希望されて、お断りしてしまった方もいるようです。
榊原:行灯廊火の時もそうですが、お母様方は、この地域をわかっているから安心して子どもたちだけでも町を歩かせることができるとおっしゃっているので、信頼のあるサンタを配置することもとても大切なことなんです。
▲豪華賞品が当たる抽選会も用意 司会を担当している榊原美和さん(左)と実行委員長の田畑大介さん(右)
(3)「とことこまちづくり実行委員会」が目指すもの
成田:1年を通じた取り組みのお話をきかせていただきました。ありがとうございます。すべてが子ども目線でイベントを企画されて、それが町の活性化に結び付いてることがわかりました。
榊原:まず、そこなんですよね。子どもが楽しくて、自分が育った町にいい印象をもってくれることが大事。子どもが思い出をつくれる町にしたいですよね。すると、大人たちも協力するんですね。
子どもたちは、所沢の町から引っ越しても、またそのイベントをきっかけに所沢に遊びに来て、友達と会って、一緒にまつりを楽しんでいるお子さんが多くいると小学校の先生方からもうかがっています。
田畑:四季折々のイベントを作りたいというのが、はじめの発端でしたね。とことこまちづくり実行委員会は、先程もお話したと思いますが、マンネリ化しないように、お客様をあきさせないように、毎年何か新しい要素を取り入れて、また良くなかったところは改良して、まちの人が自慢できるイベントに成長していきたいと思います。そして、その季節のメインのイベントの間に、「とこまちライブテラス」などの小さいイベントを入れていって、一年中、週末、所沢にいけば、何かしらイベントをやっている楽しい町にしたいですね。
前編はこちらから
【前編】
1.とことこまちづくり実行委員会とは?
2.祝!平成29年度「元気な商店街応援事業」商店街部門受賞
3.インタビュー
(1)「とことこまちづくり実行委員会」誕生の秘話
(2)四季折々のイベント
①野老澤雛物語・新三八市「時代着物市」
②とことこタワーまつり
【後編】
③野老澤行灯廊火
④とこまちコンサート
⑤サンタを探せ!
(3)「とことこまちづくり実行委員会」が目指すもの