所沢警察署と地元短大秋草学園が協定締結 若い感性で地元に根差し親しみ易く「安心安全な所沢」を
地域に根差した学校として! 赤星警察署長と北野大学長が締結式に臨みました
ビートたけしさんの兄として知られ、またコメンテーターやクイズ番組の出演者としてテレビでも活躍した北野大さんが学長を務める秋草学園短期大学が、所沢警察署と連携協定を締結しました。
2022年3月取材 前原麻世
学生が手がけた特殊詐欺・オレオレ詐欺の啓発
秋草学園短期大学は女子学生が多く在籍するということもあり、以前より粗暴犯に対する護身術や犯罪抑止・防犯に関する出前講義等で所沢警察署と交流がありました。
今年度は、初の試みとしてボランティアの授業の題材に「特殊詐欺」を選び前期・後期の授業が展開されました。学生は特殊詐欺について学んだのち、イラストを交え啓発チラシを作成、さらには自ら駅前で配布するという一連の流れを授業で体験しました。
大学側のねらいとしては、社会的な課題に対し地域貢献を通じて学生が在学中から一社会人となれるよう社会と接点を持つことにあります。
警察署としては、堅くなりがちな警察署からの情報発信を学生が代わりに行うことで、よりいっそう一般市民にとって受け入れられやすいものになり、市民に浸透していくことを期待しています。
北野大さん「イラストが上手で私もびっくり」・赤星署長「若い感性で情報発信を」
「所沢警察署と連携協定が結べて非常に喜んでいます」と秋草学園短期大学学長・北野大さんは話しました。
赤星警察署長と北野学長が締結書にサインしたのち、記者陣との質疑応答がありました。
――協定を結ぶことで今後具体的にどのような展開を予定しているのでしょうか?
北野大学長 文化表現学科にイラストの非常に上手な学生がいます。学生が現地で何か活動するもの以外に、そういった学生がチラシ等のイラストを描くとか、標語を作るとか、若い感性でお手伝いできるんじゃないかと。
学生にしてみても、発表の場となってやりがいにつながります。私自身も、本校の学生ながら「本当に上手だなと、私ではとてもこんなイラストは描けない!」と思わされています。
▲「ボランティア活動」の授業で学生が制作したオレオレ詐欺を防ぐためのチラシ
――学生さんに対してどういうことを学んでほしいとお考えですか?
北野大学長 学生というのは、学費を払っている面もありますが税金で勉強させてもらっている立場で、社会に出てから恩返しをすることになる訳です。しかし、本学の取り組みを通じて学生時代にアルバイトとは違うかたちで社会貢献できることは学生にとっても非常に大きな生きがい、自信になると思うんです。
ボランティア活動っていうのは「ギブアンドギブ」の印象がありますがが、そうではない「ギブアンドテイク」が起こっていると思います。新所沢駅の特殊詐欺のキャンペーンなんていうのはまさに「ギブアンドテイク」で、学生がお手伝いする、お手伝いすることで、例えばチラシをどういう風に配れば皆さん取ってくれるか、勉強になります。チラシに全く関心を示さない人もいますし、それも経験になるわけです。
――学生さんたちのような若い方のパワーは署にどのような影響を与えると思われますか?
赤星警察署長 当然警察署にも若い職員はいるのですが、彼らは警察学校の門をくぐったときに警察職員であり公務員になってしまっています。
そうではない普通の学生の立場から見たものの見方、職業人になっていない自由なエネルギーが、すでに就職してしまっている若者とは違った感性としてあると思います。それに期待して思いもよらない企画とかが生まれるのではと楽しみにしています。
▲左から赤星警察署長、秋草学園短期大学北野大学長・野中博史学科長・伊藤明芳教授
――「ボランティア活動」の授業とはどのようなものだったのでしょうか?
伊藤明芳教授 今年度の本授業は、前期は主に特殊詐欺・オレオレ詐欺の学びとチラシの原案の作成、後期は主にその完成したチラシを昨年12月15日に新所沢駅前で一般の方々へ配布する実践活動を通じて、年間を通したつながりのある授業となりました。
警察の皆さんとの関係の中で、実際に社会貢献を実体験できたことが学生の実になっていると感じています。例えばオレオレ詐欺は概要知識だけでなく、あらためて人の心を大きく傷つける犯罪であるということを知る学び、現役の警察官が来て講義をしてくれるという臨場感のある学び、また実際にチラシ配布するという実践活動ができました。
さらに、マスコミの皆さんに取材していただくという経験。警察の仕事・マスコミの仕事などについても、少し経験したくらいで分かるわけではありませんが、学生がそこに身を置いたことが職業選択においてよい影響が出ているとも感じます。具体的に警察官やマスコミの仕事などが職業選択の視野に入り、学生の夢や希望が広がるという効果がありました。
――「ボランティア活動」の授業を通じて学生はどのようなことを得られるのでしょうか?
北野大学長 ボランティア活動を通じて全く知らない初対面の人と話すということは座学にはない学びがあります。
学生は保育士等になったときお子さんのご父母と話をしなければなりません、そういう時に生きる学びがあるとして、単位を付与するものとしても位置付けています。
野中博史学科長 大学は研究・教育が2本柱として挙げられますが、それに地域貢献を加えて3本柱だという考え方があります。
それは学生にとっても教育効果があると考えます。社会性を持つ、あるいは自主性を持つようになるというものです。
今年度からの活動で痛感しているのは学生のコミュニケーション力の向上と、学生が自己達成感を得られることです。
昨今の学生は達成感を得にくいという傾向にあるなか、「ボランティア活動」の授業を通じて達成感を得る、それが社会性につながり学生を育てるという教育目標にかなうのではないかなと思っています。
▲「ボランティア活動」の授業で学生が制作したオレオレ詐欺を防ぐためのチラシ
警察署内では北野大さんの講話も
警察署と秋草学園短期大学の関わりは、前述した出前講義やボランティア活動の授業だけでなく、北野大学長の講話を警察署内で行うといったことも実現しました。
テーマは「努力すること」。北野大さんの周りには弟さんをはじめ様々な才能を持った方がいらっしゃるのですが、才能だけではない「努力すること」の大切さを、北野さんがこれまで見てきたこと、経験してきたことを通じてお話されたそうです。
所沢警察署と秋草学園短期大学の教員の方や未来ある学生さんたち、そして様々な経験をお持ちの北野大さんが所沢という地で連携し「安心・安全な所沢」の実現に歩みを進める。市民にとって喜ばしいニュースですね。
▶秋草学園短期大学 公式ホームページ
https://www.akikusa.ac.jp/akitan/