元フレンチシェフがつくる高級茶 和幸の森の恵み「茶房 和田園」
元フレンチシェフが作る高級茶葉
和幸の森の恵み「茶房 和田園」
狭山丘陵の「和幸の森」の恵みをうけミネラルたっぷりの茶園の「茶房 和田園」。お茶の生産から製茶、販売まで一貫して行い、丁寧なお茶づくりには全国のお茶の愛好家からも評価が高いお茶屋さんです。お茶づくりへの思いや、看板商品となった「手摘み茶」誕生について伺いました。
2020年11月取材
「茶房 和田園」は、国の登録有形文化財に指定され、所沢の観光スポットになっている「クロスケの家(旧和田家住宅)」(埼玉県所沢市三ケ島3-1169-1)の目の前にある茶園です。
和田家は、 昔からの三ケ島地区の地主農家で、昭和10年に茶の木を育てはじめ、1951(昭和26)年に製茶所を創業しました。
所沢市の狭山丘陵にある市民の憩いの場「和幸の森」の広大な雑木林も、和田家が平成5年に所沢市に寄贈したもの。その雑木林からくるミネラルたっぷりの水が、和田園の茶畑を潤し、良質な茶の新芽を育てています。
減農薬・有機質肥料で栽培している農家の証「エコファーマー」に埼玉県から認定され、毎年のようにお茶の品評会に出品し、農林水産大臣賞や金賞など数々の賞を受賞しています。
効率化を求める時代に反比例
「時代は高級志向にシフトしている」
現在、和田園を営むのは、和田良一さん。茶園専業農家としては2代目です。和田さんは大手外食チェーンのフレンチシェフをしていましたが、結婚を機に和田家の家業を継ぐことになりました。
「180度違う仕事で不安もありましたが、飲食業界も効率化を求められセントラルキッチン方式に移行する過渡期でした。料理人として、それに納得していなかったこともあり、おいしいお茶をつくる仕事は魅力的でした。でも実際に従事してから、こんなに難しい仕事はないことに気づきました」と和田さん。
大自然を相手に、元シェフの敏感な味覚・臭覚を生かして、理想のお茶づくりに励みましたが、なかなか計画通りいかないことも多かったそうです。
しかしかえってそれが和田さんにとって、「試練があるほどチャレンジ意欲が湧き楽しいこと」だったそうです。
その試練を乗り越えた1つが、日本茶の需要の落ち込み。
「今から20年ほど前。生き残りをかけて、小売りにも参入しました。多方面で顧客の開拓も行いました。そこで見えてきたものは、時代は効率化と反比例して高級志向にシフトしていることなんです」
そこで、和田さんは高級茶の「手摘み茶」に力を注ぎました。毎年、5月の「八十八夜」の日の初摘みで、新芽をひとつひとつ丁寧に手で摘むフレッシュな風味が特徴のお茶です。
「機械化が進む時代に『今さら手摘みなんて…』という声もありましたが、だからこそ、私は人のやらないことをやろうと思ったんです」
「多くのお客様が認めたお茶」
丁寧に摘んだ芳醇な香りをどうぞ。
和田さんの試行錯誤が功を奏し、「手摘み茶」が和田園の看板商品となりました。
「何が美味しいか、これは作り手が決めることではないんです。お客様が決めることなんです」
値段と味とのバランスが大事。お茶づくりのその先にいる消費者のことを想いお茶づくりをしています。
和田園の商品が通販でも買えるようになりました。
商品は40種類以上ありますが、和田さんイチオシの商品は、やはり「手摘み茶」。八十八夜の一芯四葉を丁寧に摘んでつくり上げた、新芽の芳醇な香りが楽しめる逸品です。おうち時間を充実させるのには、もってこいのアイテム。
ちょっと贅沢に自宅用にお取り寄せ、大切なあの人への季節のご挨拶にお薦めです。
取材:2020年12月 成田知栄子