東川編(4月中旬)-東川のほとりで咲く春の花


所沢市内を東西に流れる東川(あずまがわ)には、西新井町から東所沢地区まで約5kmに渡って約700本のソメイヨシノが植えられています。春の季節に東川を覆うソメイヨシノの花とともに岸辺に咲く植物や鳥たちをご紹介します。

永石文明

東川を覆うように咲くソメイヨシノ

ソメイヨシノは江戸時代末期、園芸用に作られた品種で、父親(花粉)がオオシマザクラで、母親(雌しべ)がエドヒガン。どの株も同一遺伝子のクローン桜なので、交配により種子を作って子孫を残すことができません。そのため、接ぎ木方式で栽培されています。そうは言っても、ソメイヨシノは展葉する前に開花し、時の経過とともに白色から淡いピンクに変わっていく花弁の姿が美しく、株の寿命も80~100年ほどの儚さがあることから、とても親しまれている桜です。


▲川面を覆うソメイヨシノ(バラ科)

オランダアヤメの青い花

東川の岸辺のところどころで咲くオランダアヤメ。オランダ(英語でDutch<ダッチ>)で園芸品種として作り出された球根型のアイリス(アヤメ科アヤメ属のこと)なので、ダッチアイリスとも呼ばれます。青色の外花被片(がいがひへん=萼片)は垂れ下がり、内花被片(ないかひへん=花弁)は立ち上がっています。外花被片の基部に黄紋があるのもチャームポイントになっています。


▲東川のほとりで華憐に咲く、オランダアヤメ(アヤメ科)

2種のアブラナの仲間

紫色の花を咲かせているのは、オオアラセイトウ(大紫羅欄花)。原産地は中国の東北部。和名の命名者は牧野富太郎で、アラセイトウはブーケによく使われるストック(アブラナ科アラセイトウ属)の花。別名ショカツサイ(諸葛菜)とかムラサキハナナ(紫花菜)と呼ばれます。
黄色の花を咲かせているのはアブラナ。原産地は地中海沿岸地方。もともと菜種油を採るための重要な作物として、古くから世界各地で栽培されています。今では河川敷や線路ぎわにも逸出し、野生で咲く春の花の代表格になっています。


▲アブラナとオオアラセイトウの花(どちらもアブラナ科)

クサノオウは「湿疹(くさ)の王」?

クサノオウは、アブラナ科の花弁数と同じく4弁花ですが、アブラナ科ではなく、ケシ科の植物です。ケシ科は2弁花が多いので、黄色の花びらだけを見たら、アブラナと間違えそうです。所沢市内では、畑の周りや線路の法面でよく見られ、日当たりのよいところを好むようです。葉や茎から黄褐色の乳液を出し、民間薬では湿疹(しっしん)などの皮膚疾患の外用薬として用いられており、「湿疹(くさ)の王」から本種の和名が付けられたという一つの説を推したいと思います。


▲東川の土手で咲くクサノオウの花(ケシ科)

2本の冠羽が目立つコサギ

東川の流れを下っていくと、小魚やザリガニなどを探しているコサギがいました。コサギの特徴はなんといっても頭部に生えている2本の長い冠羽(かんう)。春から夏にかけて後頭部に冠羽が2本飛び出ているのが特徴です。冠羽を含めて、胸や肩にも長くなった羽は飾り羽と呼ばれ、雌雄区別なく、飾り羽をもちます。秋から冬にかけては飾り羽がなくなります。


▲東川で餌を探すコサギ(サギ科)

今回ご紹介した場所へのアクセス
(公共交通機関利用の場合)
:所沢駅東口から航空公園駅行き「新東橋」バス停下車すぐ
:所沢駅西口から徒歩約20分
(車利用の場合)
:航空記念公園南口駐車場(徒歩約5分)


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nagaishi

所沢市に引っ越してからすぐに『所沢市の自然』(所沢市発行)の企画に参加させてもらったのが最初の所沢との関わりです。市内をくまなく回って撮影したり原稿を書いたりするうちに所沢の自然の魅力にはまりました。自然が好きで、狭山丘陵自然史研究会では雑木林や湿地、川の生物の調査研究のほか、大学(東京農工大学・立教大学)では自然環境の保全や自然保護文化論を担当しています。趣味の自然への旅が高じて毎日新聞旅行ではネイチャーガイドをしています。

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